人間用の食材は安全に食べられるように生産されていますので、今日のように食の安全が確保された世の中となっています。
ところがペット用のフードの場合ですと様子が違っていたのです。
ペットフードは人間用の食事とは同格に扱われていない面があり、ペットの食の安全性及び健康状態に及ぼす悪影響が懸念されていました。
そんな中、メーカー同士が協力し合ってペットフード協会なる組織を作り、フードの安全性を保つように努めていたのです。
そうした努力もあって従来よりも安全なフードを提供できているように感じられていた中、平成19年の3月に米国で多数の犬猫が死亡するという出来事が起こったのです。
その原因になったのはフードに有害物質メラミンが混入されていたのが理由なのですが、さらに6月になって問題のフードが日本国内にも輸入販売されていることが明らかになりました。
幸い販売されていたフードの自主回収もあって大きな事態には繋がらなかったとされていますが、しかしながらこの出来事をきっかけにペットフードの安全性を保つ為の法律が必要なのではないかと訴える声が高まっていったのです。
その声を受けて平成20年の3月になると国会に、愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律案が提出され、6月11日に成立、そして18日には公布されました。
この法律は通称ペットフード安全法と言われ、ペット用のフードに関しても安全性を重視した製造が義務付けられるという運びとなったのです。
ペットフード安全法の概要としては次のようになっています。
- 成分規格及び製造方法に合わない犬猫用のフードの製造・輸入又は販売の禁止。
- 販売される犬猫用のフードには、名称、原材料名、賞味期限、製造業者等の名称及び住所、原産国名の表示の義務化。
- フードの輸入業者又は製造業者に対する届出の義務化。
- フードの輸入業者、製造業者、または小売以外の販売業者輸入は製造及び販売の記録を残す目的で帳簿の備え付けを義務化。
- 有害な物質などが混入したフードが流通した場合、製造業者、輸入業者、または販売業者に対して廃棄及び回収といった必要な措置が命令可能。
- 問題が起きた場合はフードの製造業者などから必要な報告の徴収、または立入検査などを行うことができます。
こうした法律ができたことでペットに対して悪影響を及ぼす可能性があるフードの製造及び輸入、販売は禁止されるようになりましたので、現在ではより安全なフードを提供できるようになっています。
もしメーカー側が違反をした場合には罰則も設けられています。
例えば帳簿に虚偽の記載や不記載が確認された場合には10万円以下の過料、届出に虚偽の記載や不実施、そして立入検査を拒否した場合は30万円以下の罰金、規準や規格違反、廃棄命令違反などを無視した場合は1年以下の懲役、または100万円以下の罰金、法人の場合なら1億円の罰金が課せられます。
他にも安全上の重大問題が確認できたり、明らかな故意がある、同様の違反を繰り返すなどした場合は注意喚起として報道での発表も実際されます。
ペットフード安全法が登場している現在では、一般に流通しているフードは法律に即した製造となっていますので安心して与えることができます。
その為、ペットに対してはもちろんのこと、飼い主にとっても非常に意義のある法律と言えるでしょう。
ただし、ペットフードの安全が保たれていることと、個々のペットとのフードの相性は別問題です。
例えば人間でも特定の物質に対してアレルギーを発生させたり、時には命にも関わってくることがありますが、それはペットも同様です。
つまり安全なフードを提供するのはメーカーの義務でもありますが、ペットに対して安全に与えられるフードを選択するのは飼い主の義務ですので、安全なフードの中からより安心して与えられる物をチョイスしていかなければいけません。
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